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テロメアとクローン羊

テロメアとは

telomeres

生物の細胞は分裂できる回数に限界がありますが、これには染色体の末端にあるテロメアが関係しています。テロメアは紐状の染色体の先端に存在するキャップのようなもので、DNA鎖がほどけるのを防ぐ役目を持っています。
細胞は分裂の際に核内にある染色体もコピーしますが、テロメアはコピーされず、細胞分裂のたびに短くなっていきます。短くなったテロメアは染色体を保護することができず、細胞は最終的に分裂をやめてしまいます。これが細胞の老化の仕組みです。
ちなみに、末端のない環状のDNAを持つ細菌などは分裂の寿命はないそうです。

テロメラーゼ

生殖細胞はテロメアを補充するテロメラーゼがあるため、短くなったテロメアを補充し、適切な長さのテロメア配列を子孫に伝達することができます。
このテロメラーゼですが、がんとも密接な関係があります。正常な細胞はテロメアが一定の短さに達すると、細胞分裂がストップします。ほとんどのがん細胞はこのテロメラーゼが活性化されていて、細胞は無限に分裂を繰り返してしまいます。
日本にある研究グループが行った実験では、がん細胞にあるテロメラーゼの活性化を抑えると、がん細胞は老化を獲得して死亡したそうです。まだまだ研究段階かもしれませんが、今後のがんの診断、治療法として期待できそうですね。

クローン

クローンは細胞の核から発生した動物で、生まれた子は核を提供した動物と同じ遺伝子を持ちます。そのため、染色体の末端にあるテロメアの長さも短縮したまま引き継がれることになり、オリジナルの動物の行きた年数が寿命から引かれることになります。
実際に、6歳の羊の体細胞の核から生まれたドリーは、1歳の時に正常繁殖の6歳程度の長さでした。

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